アフガニスタンの旅 1979年
アフガニスタン問題で揺れる現在、はるか昔、ソビエト侵攻の少し前
アフガニスタンを旅して来ました。それ以降、あまり旅の出来る状態
で無くなってしまったようで悲しいのですが、その時写した写真、旅の
日記を作ってみました。今もおそらく(町が爆撃された事以外は)
おまり変わる事のないであろう風景、アフガニスタンのほんの
一部でも見ていただければ幸いです。
旅はパキスタンのカラチから、鉄道にのり、クエッタに入り、バスで国境を越え
カンダハールに入りました。その後カブール、マザーシャリフ(マザリシャリフ)、
バーミアン、カブールと戻り、カイバル峠を降りてパキスタンのペシャワールに
入る、というコースでした。
2月25日
カラチを夕方5時にクエッタに向かう列車に乗る。恐ろしく満員、通路も網棚もトイレの中も
人、人である。偶然列車の中で日本人旅行者と出会う。二人でトイレ脇の通路に座る、二人
いると、荷物の番が出来るので一安心である。一晩中、人の出入りも多く、現地の人間とぴっ
たり肌寄せ合って、きつい姿勢のまま殆ど眠れず、まいる。およそ23時間の汽車の旅、
二等学割で、17ルピー、(日本円で425円)おそろしく安い!玉砂利砂漠の風景の中、ラクダの
隊商など見かける、なんともいえない気分になる。途中、みかん、チャイ、チャパティ、卵カレー
などを物売りから買いなんとかしのぐ、。午後三時半ごろクエッタに到着。宿は駅前のレンタハウス
部屋は大きく、水の出ないシャワー、トイレ付き、ベットが二つ、毛布、シーツは無し、
1人6ルピー(150円)。夜は食堂で魚のフライ、肉入りスープ、チャパティ。で腹一杯。ここは日本
で言えば京都のような古い都。山々に囲まれた大きな町で中心街には小さな店や露店が
沢山並んでいるだが夜は暗い。
クエッタからカンダハールへ
向かうバス。
2月27日
アフガニスタンとの国境の町、チャーマンに向かう、トラックを改造したバスに荷物が満載。
おそらく乗用車だったら2時間もあれば着く所を五時間かかる。クエッタで買ったみかん三個
13円、でチャーマンまでしのぐ。途中の景色は素晴らしく、モロッコのアトラス山脈によく似ている
遅くなったので、ここで泊まる事にする。ポリスマンに教えられてレストラン、ホテルを見つける。
宿はドミトリーで5ルピー(125円)、食事もお肉を食べて、5ルピー。夜出歩くと街角で
ハッシッシを売る男に会う、タバコ大の大きさのものが2ルピー。安さに驚く!
2月28日
朝8時、リキシャでパキスタンボーダーへ向かう。9時まで待つ間に、お茶とケーキを食べ、出国
スタンプをもらい、アフガニスタンボーダーまで歩く。入国してから近くの町、スピンホルダック
の町まで乗合タクシー(10アフガン、60円)で行き、この町で入国スタンプをもらう。朝食兼昼食
を摂る。ライスと肉(25アフガン)。11時の満員バスにのりカンダハールに向かう。通路に座る。
約2時間半、荒涼たる荒野に4,500m位のそそり立つ山、その向こうに山脈、何とも言えない
素晴らしい景色とそのムードに感激。カンダハール到着。博物館の二階のホテルをすぐ決める。
1人、20アフガン(180円)。銀行を探しに町を歩く。平原の中の広い町並。沢山の店が建て混み
面白い。途中プリンの類と、寒天の類を食べる、共に5アフガン。骨董の店や古銭商の店も多い。
アレキサンダーコインだったか、なにか古いコインをこんなシルクロードの町で見つけた、と言う話
を聞いた事があったので、世界各地の古い無数のコインをおじさんに見せてもらうが、さっぱり
分からない。ところが日本のコインが沢山ある。そして穴あき50円も結構沢山ある(今の50円でなく
以前の大きな50円)なにげなく親父にいくらか聞くと10アフガン、と答える、他の古銭も(興味は
日本のお金、)次次と聞いてまた50円に帰る、(それ以外は数字がはっきりして取引にならない)
再びこれはいくら?と聞く。7アフガンというから5アフガンだと答えるとそれでいい、と。つまり50円を30円
で買った訳である。5枚ほど買って、あたりを一周、めぼしい物がないか見て周る。旅行中でなければ
面白く欲しい物は無数にあるが、今は荷物を増やせない。また古銭商に戻る。残りの50円玉を買い占める
親父はしきりに、なぜこの金が欲しいのか興味深々なのだが、穴が開いてるからとしか答えない。
結局50枚程見つけ買占めた。(後にこのコインはカブールで、もうすぐ日本に帰る人を見つけ、全部
ドルに換えてもらった。)なぜ、日本のお金がこんなに沢山あったのか不思議だったが、この国を
旅行していて思ったのが、異常に日本の背広の上着を着た人が多い、襟の裏に木下とか田中とか
縫い付けてある、古着が大量にこの国に持ち込まれているのだ、おそらくその中にお金も紛れこんで
いたのだと、思う。ちょっと面白かった、砂漠の町での体験でした。
夜はドームのような倉庫風レストランに行く、薄暗くランプの明かり、ムード満点、1mくらい高い土間
に靴を脱ぎ上がり、チャイを飲む、モンゴル系の日本人そっくりな男が多い。
チャイハナ(茶店)の親父さんと
トラック運転手。
「サリーリホームページ」に